メジャーリーグ ファン ブログ

メジャーリーグ全30チームを網羅するように、メジャーリーグ移籍情報・順位予想・成績などをできるだけ公平な目線で書いています。

オークランド アスレチックス 2020年レビュー

今回は、ア・リーグ西地区1位のオークランド・アスレチックスです。

1980年代からメジャーリーグを見ている私には、アスレチックスというと、「史上最高のリードオフマン」といわれるリッキー・ヘンダーソンもいて、マーク・マグワイアホセ・カンセコという強打者がいて、そして抑え投手ながら、サイ・ヤング賞とMVPのダブル受賞をしたデニス・エカーズリーがいる、めちゃめちゃ強いチームというイメージがあります。

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2000年代以降は、ビリー・ビーンGMが、セイバーメトリクスという統計学的手法を用いて、低予算で強豪チームを作り上げていることが、「マネーボール」というノンフィクションで有名になりました。ブラッド・ピット主演で映画化もされました。

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  • 2020年順位表

今年はア・リーグ西地区1位です。地区優勝しましたが、ALCSア・リーグチャンピオンシップシリーズ)で同地区2位のアストロズに敗れリーグ優勝はできませんでした。(黄色ハイライトは、プレーオフ進出チーム)

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2020年 ア・リーグ順位表

2000年~2020年に10回もプレーオフに進出しています。さすが「マネーボール」。しかし短期決戦には弱くプレーオフを勝ち抜けません。リーグ優勝は1990年が最後で、ワールドシリーズ制覇は1989年が最後です。

  • 野手成績

チーム打撃成績を見ていきましょう。得点・長打率OPSが、ナ・リーグ15チーム中8~12位と打撃は下位に位置しています。打率や安打数に至っては、14位と下から2番目です。打率が14位ですが、出塁率が7位なのは、「マネーボール」が結果として表れています。

打数 得点 安打 本塁打 打点 盗塁 打率 出塁率 長打率 OPS
1908 274 430 71 264 26 .225 .322 .396 .718
- 8位 14位 9位 8位 8位 14位 7位 12位 10位

主なスターティングラインナップは以下の通りです。(名前の横に(2)と表記している選手は、シーズン途中に移籍した選手で、成績は1年間通算・2チーム合計の成績です)

打順 名前 守備位置 打率 打点 本塁打 OPS
1 ラステラ(2) .281 25 5 .819
2 セミエン .223 23 7 .680
3 チャップマン .232 25 10 .812
4 オルソン .195 42 14 .734
5 カナ .246 33 5 .795
6 グロスマン .241 23 8 .826
7 ラウレアーノ .213 25 6 .704
8 ピスコッティ .226 29 5 .629
9 マーフィー .233 14 7 .821

ラステラ以外は、全員打率が.250以下です。このように確実性のない打線だったので、シーズン終盤の8月29日に同地区のエンゼルスから出塁率の高いラステラをトレードで獲得するあたりは補強が的確です。

オルソンは、打率.195と低いのですが、出塁率は.310とまずまずの成績です。そして42打点はリーグ6位、14本塁打はリーグ7位と、十分クリーンナップの役割をはたしています。

カナは、打率.246でリーグ45位ですが、出塁率になると.387で、なんとリーグ5位です。「マネーボール」おそるべし。

 シルバースラッガー賞ゴールドグラブ賞は、誰も獲得できませんでした。このように野手には突出した選手がいなくても優勝するのがアスレチックスです。

  • 投手成績

投手成績は防御率・失点・WHIPがナ・リーグで4位と上位の成績です。

防御率 完封 セーブ 失点 自責点 本塁打 与四球 奪三振 WHIP 被打率
3.77 5 17 232 216 69 165 506 1.23 0.24
4位 3位 4位 4位 4位 3位 2位 11位 4位 7位

個人投手成績も見ていきましょう。主な先発・救援投手は以下の通りです。(名前の横に(2)と表記している選手は、シーズン途中に移籍した選手で、成績は1年間通算・2チーム合計の成績です)

  名前 勝利数 先発試合数 イニング 防御率 WHIP
先発 バシット 5 11 63.0 2.29 1.16
ファイヤーズ 6 11 59.0 4.58 1.37
ルサルド 3 9 59.0 4.12 1.27
マイナー(2) 1 11 56.2 5.56 1.24
マネイア 4 11 54.0 4.50 1.20
モンタス 3 11 53.0 5.60 1.51
  名前 セーブ 登板試合数 イニング 防御率 WHIP
救援 ヘンドリックス 14 24 25.1 1.78 0.67
ウェンデルケン 0 21 25.0 1.80 1.12
トリビーノ 0 20 23.1 3.86 1.11
ソリア 2 22 22.1 2.82 1.25
ペティット 0 26 21.2 1.66 1.11
ディークマン 0 21 21.1 0.42 0.94
マクファーランド 0 23 20.2 4.35 1.50

先発では、クリス・バシットが、31歳にして初めて規定投球回数に達した遅咲きの選手です。今年は防御率が2点台と素晴らしい活躍をしました。特に9月は4試合に先発して、自責点1点のみで3勝をあげ、月間最優秀投手に選出されました。名前のとおり、バシッと抑えました。

それ以外の先発も、規定投球回数に若干足りないだけで、安定した勝ち星をあげています。

救援陣が、このチームの強みです。筆頭は抑えのヘンドリクス。最優秀救援投手賞を獲得しました。

 その他の中継ぎ陣も、20イニング以上を投げて、WHIPが1.20を下回っている投手がほとんどです。その中でもディークマンは、21イニングを投げて自責点は1点だけで、WHIP0.94と左投げの中継ぎとして申し分のない活躍です。33歳で他球団を転々としている選手ですが、今年はキャリアハイの成績をあげました。選手の発掘が上手なのか、起用方法が上手なのか、アスレチックスに来ると不思議と活躍します。

  • まとめ

大活躍した抑えのヘンドリクスがFAになりますが、ビリー・ビーンがいる限り、的確な補強をして来年も心配ないでしょう。

次は、ア・リーグ西地区2位のヒューストン・アストロズです。